オランダに暮らす~「英国の庭」から「オランダの庭」へ

2020年2月にロンドンからアムステルダムに引っ越したばかりの主婦によるオランダ生活記。英国生活については「英国の庭から」をご覧ください。

花を頻繁に買うようになりました

園芸用の花栽培は19世紀後半から

オランダは花大国と呼ばれています。チューリップだけではなく、様々な植物がオランダで園芸作物として育てられています。その理由は、国内には世界最大の花き取引市場があり、世界の花き取引量の6割が、このオランダの花市場で取引されているからです。

実はその、世界最大の花取引場Royal Flora Hollandは我が家から自転車でも行けるぐらいの距離にあります(バスだと10分程のところです)。我が家から自転車で5分も行くと、アールスメールという街に入るのですが、この町に1870年代にはじめて温室が作られ、商業用の花の生産が始まったそうです。そして、それを取引する市場が作られたのだそう。

それをさかのぼること300年前、17世紀から18世紀半ば頃にかけてオランダにはチューリップ狂時代というのがあったそうです。トルコからもたらされたチューリップを改良して希少な品種を生み出しては大儲けするという風で、球根は貨幣の代わりになったそうです。バブル経済のようになってそれが破裂して終わったようですが。そのころからオランダ人にとって花は商売の道具になった模様です。チューリップ狂時代の話は、別途そのうちまとめますね。

オランダ人にとって花は日常生活の一部のようです。花は食品と同じ必需品の扱いです。だから付加価値税(VAT)率は食品と同じ9%と言う軽減税率に据え置かれていますし、ロックダウン(都市封鎖)以降、園芸天国の英国でさえ、不要不急として閉鎖されたガーデンセンター、プラントナーサリー(育苗業者)も営業を続けています。

街の商店街をみても生花を買い求める人が多く、散歩していると各家の窓辺にも生花や植木鉢が飾られているのです。こんな感じ。

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コロナのせいで世界の花消費が急減 

3月以降、コロナによるロックダウン(都市封鎖)の影響で、世界各国の生花や苗の消費が縮小し、輸出依存度の高いオランダの園芸産業は大打撃を被ったそうです。チューリップなど生花の大半を破棄する映像が何度もニュースで流れていました。業界団体はオランダ国内で少しでも花を消費して欲しいと訴えており、3週間ほど前にはスーパー前の広場でボランティアの方が無料の白いチューリップの花束(10本入り)を配っていました。微力ながら私も少しでも貢献したいと、頻繁に花を買うようになりました。

 

オランダでは生花も苗も英国に比べて安いです。英国のスーパーでは、かなり低価格でケニア産のバラなどが買えると思ってたのですが、さらに安い。今はさらに価格が下落ししていることもあって、バラが10本で2.99ユーロとか、シンプルな一重のチューリップだと10本で2.99ユーロ。アムステルダムの市内に住んでいる方によると市場では50本で8ユーロという破格の値段でも売っていたそうです。

こちらは10本で3.25ユーロ(400円位)で購入した花束。日本だと1本でこれくらいの値段ですよね。

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活け方はめちゃくちゃ・・というか、英国と違って、添え物にするような緑が庭にないので、花束として売ってきたものをそのまま花瓶にさしています。庭がほとんどすべてタイル張りなんですが、スーパーで買ってきた花に合うような緑を庭で育てられないものか、物色中です。

 

運河のある風景は美しい

オランダの家に入居してはや2カ月。しみじみ思うのですが、この国は美しいです。新居は、アムステルダムの隣町にあり、スキポール空港からは10キロ弱の距離です。

毎日散歩していますが、家の周りは運河だらけです。この写真は我が家から歩いてすぐのところ。

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運河に面している家も多い。

こんな景色があちこちにあって無名の景色なのに美しいのです。

詳細はわかりませんけど、運河に直接面している家の方が、おそらくそうでない家よりも価値が上なのではないかと思います。大邸宅が多いし、運河に直接ボートを下せるようになっています。

不思議なのは、これだけたくさん運河があるのに、子供は落ちないのでしょうか?日本でよく用水路で子供がおぼれたとか、夜、飲んで歩いて帰る途中に落ちちゃったとか聞くのに、オランダは日本の比じゃないほどの水路が縦横に走っているのです。大丈夫なんでしょうか・・

それともうひとつ、心配なのは、最近暖かくなってきて蚊柱がたっていること。ロンドンでは必要がなかった、電気の蚊取り器が売っていたり、借りた家に網戸がついているところをみると、私の大嫌いな蚊がいそうです。運河もよく見ると水がよどんでいたりゴミがたまっているところも多いので。

久々の蚊との戦いにおびえる私です。

オランダはやはり風が作った国でした

こんにちは!ゐです。2月14日に英国ロンドンからオランダのアムステルダムに引っ越してきました。このブログは当初「オランダの庭から」にするつもりだったのです。

でも、残念ながら英国と違って、首都アムステルダム近郊の駐在員向け住宅物件には庭付き一戸建ては殆どなく、ようやく借りることができたのは、庭とは名ばかりの大半がコンクリートのタイルで覆われた小さい庭が付いた物件でした。というわけで庭の部分を少しだけ縮小して「オランダに暮らす」と言うタイトルにしたいと思います。

といっても、オランダは園芸大国ですので、制限のある中でガーデニングをどれだけ楽しめるかに挑戦してみたいと思います。

それとは別にオランダに来て1カ月半、私のオランダのイメージが固まりってきました。この国は、「風と運河と自転車の国」なのです。と言うわけで、URLにも風と運河を入れてみました。

こちらのブログでは、当面はオランダの生活事情を中心に報告させていただきます。「英国の庭から」の方では、ひきつづき、英国事情や欧州文化をご紹介しますので、よろしくお願いいたします。

 とにかく風が強い!

さて、オランダに来て最初の2週間、夫と二人でアムステルダム郊外のキッチン付きのホテルに泊まって、オランダに移住するにあたっての諸手続きや家探しをしました。

英国から到着したのが金曜日の夕方だったので、諸手続きを開始したのは翌月曜日となりました。そこで、週末はホテルの周辺を散策したり、アムステルダム中央駅から王宮前のダム広場まで歩いてみました。と書くと優雅に聞こえるのですが、今年の2月のオランダの天気はとんでもなかったのです。

毎週、英国経由で超ド級の嵐が2週連続してやってきました。最初のがCiara、2つめがDennisです。Ciaraはロンドンの私の庭のクレマチス植木鉢を倒して壊した挙句、オランダにまで追いかけて来て居座っていきました。さらにDennisという猛烈な嵐がやってきて、連日の暴風雨となり、飛行機が全便欠航となり、夫の出張がつぶれました。

この嵐の間、厚いホテルの壁越しにビュービューと音がしてうるさくて眠れないのです。駅からホテルまで10数メートルしかないのに、風が強くて前進できずなかなかほてるにたどり着かないのです。

しかも、オランダの冬の天気は、英国同様、山の天気に似ていて、早朝に晴れていても午後になると強風と雨がやってきます。傘をさすのはほぼ無理。オランダ人の体格がいいのは、この厳しい気候に生き抜くことができた遺伝子を持つ人だけが残っているためなのかもしれません。

風力統計でもやっぱり1年中強風

さて、オランダの気候ですが、どうやらこの「風が強い」というのは、1年中のことのようです。東京とアムステルダムの1年間の風をグラフにしたものが出ていたサイトをみつけたので、拝借してきました。

上が東京、下がアムステルダムです。

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東京の平均風速 https://weatherspark.com

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アムステルダムの平均風速 https://weatherspark.com/

これをみてわかるように、東京で最も風が強い3月でも、平均風速は9.1mphなのに、アムステルダムは1年中で一番風が穏やかなはずの8月でも10.3mphもあるのです。風は寒い冬の間、ずっと強いようです。ただでさえ、天気が雨がちで日照時間が短く寒い季節なのに。

そういえば、ヨーロッパのオランダ絵画のコーナーに行くと、暗くて陰鬱で、暴風雨に煽られる船とか、難破船の絵が必ずあるのです。そういう場所だったんですね。強風を利用して国土を開拓しようと考えたのも、この風との闘いのせいに違いありません。

 

というわけで、アムステルダム転居と共に、我が家の「風との闘い」が、始まったといことがわかりました。あーあ。

ちなみに、下の素敵な風車柄のお皿は次のオランダ名物デルフト焼です。

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風車の柄のデルフト焼のお皿 https://www.heinendelftsblauw.com/